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漫画・アニメのスクショ使用に関する著作権メモ

「ファンサイトやYoutubeでよく見る漫画・アニメのスクショは著作権的にOK?NG?グレーゾーン?」について調べてみた自分用備忘録です。
私は専門家ではないので、この記事の内容を鵜呑みにせずご自分で調べていただくのをお勧めします。
そしてめちゃ長いです(4,800文字)

漫画・アニメのスクショ使用に関する著作権メモ

ファンサイトや個人が作った動画には、漫画のコマ・アニメのスクショが使われているものがたくさんある。
これって使っても問題ない?

著作権とは

大前提として、漫画やアニメは著作権で保護されている。

著作権は著作物を保護するための権利です。
著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいいます。

あなたの身の回りにも著作権で保護された多くの著作物が存在します。たとえば、小説、音楽、絵画、地図、アニメ、漫画、映画、写真等は、それぞれ著作物に該当します。

典拠:著作権とは | 日本弁理士会

引用について

引用とは何か

著作権で保護されているものであっても、私的利用でない場合、「引用」の範囲であれば使うことができる。

作品を利用する場合はまず最初に著作権が存在しているかどうかを確認し 私的使用であれば基本的には何も気にする必要はないですが、 そうでない場合は「引用」である必要があります。

典拠:2017.1.22アニメキャプチャ画像の使用と著作権近辺について | 空中庭園

では引用とは何か。

1.『引用』と『転載・転用・盗用』は違うもの
2『引用』なら権利者の許可無く、営利・非営利に関係なく利用できる。
3.『引用』には7つの要件があり、すべてに合致していないと引用にならない。

7つの要件とは

[1]引用する資料等は既に公表されているものであること、

[2]「公正な慣行」に合致すること、

[3]報道、批評、研究などのための「正当な範囲内」であること、

[4]引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること、

[5]カギ括弧などにより「引用部分」が明確になっていること、

[6]引用を行う必然性があること、

[7]出所の明示が必要なこと

典拠:2018年7月3日アニメブログの画像引用で違法と言われない著作権法のポイント

漫画・アニメのスクショを使いたい時は、これらの要件を満たしているか自分でしっかり判断する必要がある。
7つの要件に関する説明が典拠で示したサイトにあるので確認されたし。

作成者は引用のつもり、でも権利者から見たらアウト!という例も

連載中の漫画のせりふなどを書き写し、ウェブサイト上に無断掲載していたサイトの運営者が逮捕された。
男は行為を認める一方、「引用の範囲で、自分が著作権を持っていると思っていた」と容疑を一部否認しているという。

漫画そのものを無断で公開する「海賊版サイト」ではなく、せりふを丸写ししたサイトが摘発されるのは珍しい。作品の内容や結末を無断で明かすサイトは「ネタバレサイト」と呼ばれ、多くは広告収益が目的とみられている。

典拠:「ネタバレサイト」書類送検 漫画のせりふ無断掲載疑い―「引用の範囲」・福岡県警:時事ドットコム

そもそも著作権親告罪
権利を持っている者以外の者は権利侵害を訴えることはできない。(典拠:著作権法における親告罪の在り方について)

では、訴えられていなかったら権利を侵害していないか?答えはノー。

という可能性も。
自分では引用のつもりでも、単に見逃されていただけということもある。
逮捕まで至る例は多くはないとはいえ、著作権侵害による逮捕者が出ていることは頭に入れておきたい。

日本と海外の著作権事情の違い

著作権についてTwitterで呟いたら、アメリカでの著作権事情を教えていただいた。

  • アメリカでは著作権のあるコンテンツをパロディ・学術的な議論や分析、批判に使うことは言論の自由として保護されている
  • だからこそYouTuberやツイッターでも原作の画像を使ったものが多く見られる

とのこと。

正直に書くと、海外のファンは何であんなに気軽に原作のコマを載せるんだろう?(やっちゃダメでは?)と思っていたのだが、そもそも法律が違っていたのだった。無知で申し訳ない。

日本の著作権の場合、「パロディ・学術的な議論や分析、批判」というジャンルの指定はない(はず、私が調べた限り)。
その代わり上記に述べた「引用」の形式を守る必要があるけれど、

  • 著作権に関して正しく理解している
  • 理解した上でルールを守って使っている

人はそう多くないかもしれない。
著作権という言葉は知っていても理解が不十分だったり、誤解があったり、知ってはいても別に守らなくても平気でしょみたいな認識の人もいるかも。

ここまでのまとめと思ったこと

ここまでのことを一旦まとめてみる。
日本の著作権の場合、

  • 漫画・アニメのスクショはオールアウトではない。引用の形式であれば利用可。
  • 引用するには7つの要件を守っている必要がある。
  • 引用のつもりで使っていても権利者から見たらアウトな可能性も。逮捕に至ったケースもある。

ということ。
そもそも著作権について調べようと思ったのは、ファンサイトや動画でスクショを使っているものが多くて辟易したからだが、今回調べてみてオール黒ではないことが分かった。
調べる前は全て無断転載では?と思っていたので、その点は私の勘違いだった。きちんと調べるのは大切。

ただし、ファンサイトや動画がスクショをきちんと「引用」して使えているかというとそれはまた別の問題。
上記の7つの要件にある「引用部分が明確になっていること」「引用を行う必然性があること」「出所の明示が必要なこと」あたりをきちんと守っているものはどれぐらいあるだろう。(特に気になるのが動画のサムネやブログのアイキャッチ

とはいえ、そこまで酷くなければ現状罰せられる可能性は高くないので、使ったもん勝ちみたいな所は正直ある。
ルールを守っている側が嫌な思いをするのなんとかならないかなーーー。

気軽に使えるものないの!?

ぼやきで終わるのもなんなので、著作権について気にせず気軽に使えるものを2つご紹介。

(1)漫画のコマをブログに貼り付け可能「アル」

出版社および作者の方から許可をいただいたコマを、WordPressはてなブログ、noteなどのブログサービス内で記事に自由に貼り付けて活用することができます。

典拠:ブログに貼り付けられるコマ投稿一覧 | アル

使える漫画・コマは限られているけど、もし自分が使いたいものが対象であればとても便利そう。

ただし、

  • 使える範囲がブログサービスに限られる
  • 知名度があまりないので許可をいただいているということがわかりにくいかも(著作権違反と取られかねない)

という懸念もある。

(2)書影や書誌を自由に使える「版元ドットコム」

本を紹介するために書影や書誌を自由に使うことができるサイト。

各出版社が自社の本の宣伝やオンライン書店での利用に自由に使って良いという契約をして出版業界の共通のデータベースに登録したものを版元ドットコムも使っておりますので、必要最低限のルールを守っていただければ、書影を自由にダウンロードしてご利用いただけます。

だそうなので、こちらも条件に当てはまれば便利そう。

典拠:書影や書誌は自由にお使いください | 版元ドットコム

 

おまけの部:ツイートの引用と二次創作

ここからはおまけ。
ツイートは許可なく自由に引用できるよという話と二次創作について。

ツイート引用について

実は、皆さんのツイートは許可なく引用される可能性があるということを知っていますか?

インターネット上であなたの発言を「適切な形であれば、利用者の許諾を得ずとも再利用が可能」であると考えてください。

 具体的には、ブログやニュースメディアがページに「Twitterが提供する開発者用機能を使い、正しいかたちで埋め込む」ことは、あなたが投稿した時点で許諾している=Twitter公式APIを使えば、投稿者の許諾を取らずに引用できる」ということになります。

典拠:ツイートの二次利用はどこまでOK? 知っておきたい「利用規約」の読み解き方:ITりてらしぃのすゝめ(2/2 ページ) - ITmedia NEWS

このことはTwitter利用規約に書いてある。
Twitterを利用するということは、利用規約に同意していることになるので覚えておくと良いかもしれない。

ユーザーは、本サービス上にまたは本サービスを介してコンテンツを送信、投稿または表示することによって、当社が、既知のものか今後開発されるものかを問わず、あらゆる媒体または配信方法を使ってかかるコンテンツを使用、コピー、複製、処理、改変、修正、公表、送信、表示および配信するための、世界的かつ非独占的ライセンス(サブライセンスを許諾する権利と共に)を当社に対し無償で許諾することになります(明確化のために、これらの権利は、たとえば、キュレーション、変形、翻訳を含むものとします)。このライセンスによって、ユーザーは、当社や他の利用者に対し、ご自身のツイートを世界中で閲覧可能とすることを承認することになります。

典拠:Twitterサービス利用規約

 

私が見た中には、個人のツイートを使っているサイトもあった(許可を取っているかは不明。ただし、上記のとおり許可は取ってなくても違反ではない)
規約では使用可能かもしれないけど、自分のツイートが無断で引用されたら嫌だと思う人は多そう。(私もやだ)
なので私のサイトではオフィシャルアカウントのみ引用することにしている。

ちなみにツイートを引用するとき

  • ツイートをタップするとTwitterにリンクされるもの(埋め込み)
  • スクショ画像を使うもの

という方法があって、うちのサイトは前者のみ。
この方法だとツイート主が該当のツイートを削除したり、鍵をかけたりした場合サイト上でツイートが見られなくなる。
推奨されているのは前者の方法だけど、後者でもアウトとまではいかないのかも。(詳しく調べていないので不明)
個人的にはスクショは良くない気がするなぁ。。

二次創作と著作権

二次創作をする方にとって大切な著作権に関する知識。
こんなサイトを教えていただいたのでここに貼っておく。

典拠:作品を無断転載された同人作家は何ができるか:BL同人誌事件(知財高裁令和2年10月6日)評釈 | STORIA法律事務所

雑記

最後に色々思ったことについて。
今回著作権について調べてみて、勘違いをしている部分があったことが分かり勉強になった。
そして誤解が解けたことで自分がモヤついていたポイントも明確になった。

私がモヤついていたのは、

  • 著作権について調べた上でスクショを利用している?
  • 必要な処理(出典を示すなど)はしている?
  • 発信している内容は正確?間違いがあったら訂正している?

といった部分で、「スクショを利用すること」ではなく「発信側の姿勢」の方が気になっていたのだった。

真面目か!!!っていう感じだけど、真面目なんだよね。。
私はサイトを作って発信する以上正確な情報を届けたいと思っているし、発信する内容に責任があると思っている。
いくら内容が良くてもルールが守られていないとモヤついてしまうタイプなので、そこはこだわりたい。
見てくださる方が安心して利用でき、心から人に薦めたくなるそんなサイトを目指したい。
私の好きなものは本当に素晴らしいのに、私の発信方法に問題があるせいで好きなものの評判が下がったら嫌だもん。

 

著作権について調べることで、自分の発信に対する姿勢も再確認できて良かった。
こんな長い文章を最後まで読んでくださってありがとうございました。